サンタクロースが運んで来た子猫たち
子猫はどこからやってくるのでしょう
哺乳ボランテイアをやったことがある人、猫の保護活動をやったことがある人ならば、必ず思ってしまう言葉かもしれません。
毎年毎年、どこからともなく、子猫たちが集まってくる。
そこで拾った。
捨てられていた。
震えてぐったりしていた。
ノミだらけでお腹を空かせていた。
へその緒がついた状態で落ちていた。。。
風邪を引いて目もあかないぐしゃぐちゃの状態で鳴いていた。。。
瀕死状態だった。。。
TNRも推奨し、ノラ猫を捕獲してはひたすら手術をしているのに。
次から次とやってくる子猫たち。
授乳が必要な乳児に、昼も夜も、数時間おきにミルクを与えるというボランテイア。
通称ミルボラ。
これは子猫の命を救う、すばらしいボランテイアです。
ミルボラ燃え尽き症候群
ミルクボランテイアは、決して楽な仕事ではありません。
昼も、夜も、2-3時間おきの授乳が必要です。
下痢や伝染病の世話や投薬も必要かもしれません。
下痢で汚れれば、何度もシャンプーしなくてはなりません。
様態が急変すれば動物病院に突進しなくてはならないでしょう。
お金もかかります。
時に子猫は死亡し、心が折れることもあるでしょう。
しかし、何よりも辛いのは、終わりの見えない作業である、ということではないでしょうか。
ようやく子猫が離乳したと思えば、また次の依頼がやってくる。
3匹5匹と授乳で命を救っても、また次の3匹5匹がやってくる。
自分にも仕事や生活があるので、時には断らなくてはならない。
すると、その3匹5匹は、救えないことになる?
断るには勇気がいるし、断ると自己嫌悪になる。
でも無理して授乳を続けると、自分の体や生活に支障が出る。
どちらにしても、むなしくなる。
そもそも、自分が何匹救おうと、きりがないし、社会は変わらないと思えてくる。
これが、燃え尽き症候群です。
あなたはりっぱなボランテイア
私のところにも、燃え尽きてしまったミルボラさんからの相談が、時々あります。
どんなにがんばっても、猫は減らない。
不幸な猫は後を絶たない。
そういう気持ち、よくわかります。
しかし、TNRとミルクボランテイアが普及したおかげで、日本の殺処分数は、統計上は減ってきています。
もちろん、統計にのらない命もたくさんあるでしょう。
しかし、あなたが3匹5匹、寝ないで子猫に授乳をした、という事実は、決して無駄ではないのです。
ミルボラとして、あなたが行ったすばらしいこと
例えば、3匹の子猫にミルクを飲ませることにより、あなたは以下のことを成し遂げ、社会貢献したことになります。
1. 3匹の子猫の命を救ったこと。
2. 毎年環境省から発表される、「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」の統計から、殺処分数を3匹も減らすことができたこと。
3. あなたは、子猫にミルクを飲ませる、という技術と知識と経験を取得しました。それゆえ、一度も子猫にミルクをあげたことがない、という人に、手をとって教えてあげることができます。
4. あなたに教えてもらって、技術知識を取得したその方が、またさらに、次の人に授乳の仕方を教えることができます。
結果、より多くの人が子猫を救えることになります。
5. あなたの授乳した猫は、譲渡会を通して、誰か見知らぬ人に、もらわれていくことでしょう。
あなたの子猫は、その家庭に、猫とのすばらしい生活を提供することになります。
それは、共働きで疲れた夫婦の心を癒す猫になるのかもしれません。
子どもが猫と生活することで、命の尊さや責任感、弱い者にやさしくするという愛情を学んでくれるかもしれません。
いじめや登校拒否、ひきこもりで苦しむ若者の心を、少しだけ開いてくれる猫になっていくかもしれません。
子どもができないご夫婦が、子供がいなくても、猫と一緒に明るく元気に愛しあって生きてゆこうと思える、キューピット猫になるかもしれません。
家庭内暴力や虐待で、心に傷を持っている人が、ペットを飼うことで、癒されるかもしれません。
あるいは、子供が巣立ち、会話のなくなった静かなご夫婦の家に、やすらぎと笑いをもたらすピエロになるかもしれません。
パートナーを亡くして喪失感に苦しむ方、被災して大切な家や家族を失った方、不運な事故で障がい者になった方、その他、世の中には、数えきれないほとだくさんの人が、ペットという命を家に迎えいれることで、救われています。
あなたの育てた子猫は、あなたの知らない家に行き、あなたの知らない街で、あなたの知らない名前をいただき、あなたの知らない人の心の中に入り、あなたが想像もしなかったその人の心を癒し、長い長い年月、幸せを与えることになるかもしれません。
あなたの育てた子猫は、20年後、あなたの知らない地球のどこかの家の中で、家族皆に囲まれながら、やさしく皆に撫でてもらいながら、何粒のも涙を流してもらえるかもしれません。
あなたの育てた子猫は、虹の橋を渡る直前、「うちに来てくれてありがとう。出会えてありがとう、今度生まれる時は、またうちに来てね」と言ってもらえるかもしれません。
ミルボラがサンタクロース
あなたの育てた子猫は、きっと、誰かにとっては、世界一すばらしい贈り物です。
燃え尽きる気持ちはわかります。
でもあなたも、ミルボラを続ける限り、サンタクロース。
無理をしないで、でも長く、自分のペースで、サンタクロースを続けてください。
Merry Christmas to all.
世界中の動物たちに、暖かい家と食べ物と愛が届きますように。
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