鳥インフルエンザH5N1型の緊急事態宣言 あなた、あなたの飼い猫、地域猫を鳥インフルから守るために
緊急事態宣言
ご存じでしたか。
現在、鳥インフルH5N1型が世界のあちこちで大流行しています。
今回のこのH5N1型は今までの鳥インフルと異なり、経済的被害だけではなく、複数多方面へ弊害が起こる非常に危険な伝染病であると、専門家が警告しています。
そして残念ながら、この鳥インフルはすごい勢いで世界中に広まっています。
北アメリカ、欧州、アジア各国、アフリカですでに大流行の地域が出ています。
日本も例外ではなく、毎週のように養鶏場で多くの鳥が安楽死になっているニュースが流れています。
カリフォルニアでは、昨年12月18日に、州知事が緊急事態宣言を発令し、各関係者に注意喚起し全力で流行予防対策をしてきましたが、残念ながら流行が収まっていないのが現状です。
今日はこの、H5N1型鳥インフルエンザの特徴と、特に猫に感染しないようにする予防対策をお話します。
なぜ、鳥インフルH5N1型は特に危険なのか
ご存じのようにインフルエンザはウイルス性の伝染病で、多くの型(ウイルスタイプ)が存在します。
なかでも今回のH5N1型は、以下の特色が確認されています。
a. 鳥が感染すると、非常に重篤な症状になり死亡率が高いこと。致死率は90%以上。
b. 鳥から鳥への伝染力が非常に強いこと。
特に養鶏場ではあっという間に全羽に感染してしまう。
c. 鳥以外の種に感染すること。
家禽(ニワトリなど)だけではなく、野鳥や小鳥などにも感染。
特にペットである猫をはじめ、ネズミなどの小動物、ミンク、フェレット、キツネ、アライグマ、さらに海獣へも感染する。
d. 空気感染、飛沫感染だけではなく、肉やミルク、糞便を媒介して感染する。
e. ヒトへの感染も確認されて、死亡者も出ている。
f. 遺伝子の突然変異により、さらに感染力が増大する可能性がある。
感染経路
まず、養鶏場のニワトリなどはどうやって感染するのでしょか。
基本的には、感染した鳥に接近することで、鼻汁などの飛沫により伝染します。
また感染鳥の糞便中にもウイルスがあり、糞を通しても感染します。
また鳥の羽や体表にもウイルスが付着しているので、汚染された床やケージ、器物、そして人に付着(靴、車両、作業着や服、手や体表)が感染源になります。
野鳥やネズミが外から入ってきて感染源になることも多々あります。
このように種を超えて感染することで、感染が他の養鶏場に飛び火します。
怖いですね。。。
野生動物、野鳥の関与
養鶏場内に、スズメなどの野鳥が入らないようにしなくてはなりません。
またこの鳥インフルは、ネズミにも感染するため、養鶏場内に入ってくるネズミや他の野生動物が侵入しないように、建物を強化する対策が急がれます。
また養鶏場から出るゴミや下水さえも、ウイルスの汚染源になるため、完全な予防は非常に難しいとされています。
ふわりと空中を舞った鳥の羽や、ゴミの中の小さな鳥の糞便と、ネズミや野鳥が接触しただけでもウイルスが伝播してしまいます。
それゆえ、野鳥や野生動物、猫への感染が広く起こりがちです。
実際にそうやって、次々と養鶏場の感染が広がっています。
感染鳥の肉や卵を食することによる伝播
鳥インフルH5N1のさらなる問題は、感染した鳥の肉からも、ウイルスが伝染するということです。
基本、感染した鳥は市場に食用に出ることがないように検査されていますが、どうしても完全に予防することはできません。
鶏肉も卵も、74度以上に調理することで、鳥インフルのウイルスが完全に死滅します。
よってしっかりと調理すれば感染予防できます。
鶏肉はしっかり調理しても、調理準備に使ったまな板や包丁などを通して、ウイルスと接触することもあります。調理場の消毒も欠かせません。
野生動物、特に猫は、感染した鳥を捕食することで、鳥インフルH5N1に感染することが懸念されます。
米国では、生食のペットフードを与えることで、完全に室内だけで生活し、鳥などを捕獲した経歴のない猫が、感染したケースがありました。
また、感染した乳牛のミルクを非加熱処理状態で飲んで感染したヒトのケースも報告されています。
ヒトが感染したらどうなるか
ヒトもH5N1に感染し、多くの報告が出ています。
ヒトが感染すると、咳や呼吸器症状、発熱、倦怠感から、まれに神経症状(けいれんなど)になります。
ちなみに、この鳥インフルH5N1は、ヒトからヒトへ感染した例はまだありません。
ヒトは鳥から直接感染する、感染した肉、卵から感染する、あるいは、これに感染した他の動物から感染する(猫からなど)の経路が考えられます。
厚生省では、むやみに野鳥に近づいたり触ったりせず、手洗いの励行を注意喚起しています。
猫の鳥インフルH5N1について
さて、この鳥インフルH5N1に関して、猫が感染するということで、動物関係者への注意喚起がなされています。
なぜ猫が問題になるか、というと。。。
a. 猫が外に出て鳥を捕獲することで、H5N1に感染する。
b. 地域猫、迷い猫は外で生活するのでハイリスク。
c. 猫はこの鳥インフルH5N1の感染「感受性」が高く、感染すると重症化したり死亡したりすることがある。
d. 猫を保護する愛護団体関係者、動物病院関係者が、猫からH5N1ウイルスにかかってしまう可能性が懸念される。
といったことが懸念されています。
犬は感受性が低いために、ウイルスと接触してもあまり感染しないことがわかっています。
米国シェルター学会の警告とガイドライン
全米のシェルターメディスンの各専門医たちは、さっそくこの鳥インフルH5N1に関して、広く注意喚起し、ガイドラインをまとめて発表しています。
現在アメリカでは、猫がH5N1型鳥インフルに感染したと確認されたケースは12匹程度です。
しかし、動物園のトラが20頭一斉に感染するなど、猫科の動物は感染しやすいことがわかっています。
また多くのペットの猫は、実際にH5N1型鳥インフルに感染して死亡しても、判定されないままになっていると想像されています。
現在、猫からヒトにH5N1型鳥インフルが感染したケースは報告されていませんが、この状況を懸念して、ペットの猫や地域猫にも、H5N1型鳥インフルが感染することを今のうちに注意喚起し、早期発見、および予防に努めるよう促しています。
猫の保護活動をしている方、および施設に関する注意は以下のとおり。
1. 以下の症状を示した猫は、直ちに隔離して特に注意を払う
・上部気道感染の症状のある猫で、特に症状が悪化している猫(くしゃみ、鼻水、咳、呼吸困難など。
・目ヤニと鼻水がひどい
・食欲不振、元気消失、発熱。
・神経症状(けいれん発作、ふるえ、旋回、盲目など)
・突然死
2. 高リスクの猫 猫を引き取る時に注意
・野鳥を捕獲する猫
・養鶏場、ペットでニワトリを飼育している家から来た猫
・乳牛、酪農牧場にいた猫
・生肉、非加熱処理乳を食べて、飲んだ猫
・H5N1鳥インフルに感染した動物や猫と接触した猫
3. H5N1型鳥インフルの検査をするべき猫は以下のケース
・急死した猫
・神経症状の猫(旋回、震え、けいれんなど、異常行動など)
・猫の呼吸器疾患が多発している場合
・狂犬病感染に似た症状を呈している猫
4. 猫と自分が感染しないための予防対策
・猫に生肉、非加熱処理乳を与えない。
・猫を室内で飼い、野鳥捕獲をさせない
・地域猫の場合は、感染している可能性を考慮して、使い捨てグローブ、保護具(マスクやガウンなど)を着用する。
・地域猫にむやみに触らない、なでない。
・ボウル等を常に清潔にするよう心掛け、毎回しっかりと洗浄する。
・地域猫に給餌した後は、手洗い消毒を実行する。
・疑いのある場合は、直ちに獣医師の診察を受け、検査をしてもらう。
5. 消毒
消毒する場所、器具などによって異なるが、消毒用のアルコール水(70%)や、次亜塩素酸ナトリウムの100倍希釈液で、除菌できます。手指の場合は、せっけんでよく洗うことで除菌できます。
まとめ
H5N1型鳥インフルは、基本は鳥のインフルエンザです。
しかし、猫をはじめとして、ヒトや他の多くの動物種に感染すること、飛沫空気感染だけではなく、糞や肉、たまごを食べること、あるいは、感染した牛のミルクからヒトに感染します。
猫科の動物は感染しやすく、よって家猫、地域猫、ノラ猫が、野鳥を捕獲したり、生肉、生乳を飲むことで感染することが懸念されています。
以上のことから、動物病院の獣医師や看護師、動物保護活動をしているスタッフやボランテイアは、十分注意して、猫および自分がH5N1型鳥インフルにかからないよう、注意してほしいです。
みなさん、どうかどうかくれぐれもお気をつけて、安全に動物の保護活動を行ってください。
参考サイト
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文責 西山ゆう子
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