オバマ元大統領が、亡くなった自分の犬に送ったメッセージ

2021年5月12日アメリカ,人生・生活,獣医療・ペット

ボウは、私たち家族がまさに必要としていた犬で、そして期待以上の犬だった
―バラック・オバマ

オバマ前大統領が飼っていた愛犬、ボウが亡くなられたそうです。
フェイスブックに、コメントと、ボウと一緒にホワイトハウス内を走る写真がアップされていました。

オバマ氏がアメリカ大統領に就任したのが、確か48歳。
初めての黒人系大統領ということで注目され、さらに年齢の若さと、庶民的な性格が人気を集めました。

ハンバーガーやジャンクフードが好きな、典型的なアメリカン。
運動神経もよいらしく、バスケットボールの腕のよさに定評があります。

大統領としては、演説の上手さと、非常に記憶力がよいということに定評があり、そして彼のスピーチは、いつも心がこもった暖かさがありました。

彼はLGBTに理解を示した一人者でもあり、初めて公的な場で支持表明した大統領でもあります。
その時の彼スピーチを聞いていた時、私は感激して涙がこぼれました。

プライベートでは家族想いで愛妻家で有名な彼は、一匹の犬、ボーをこよなく愛していたことも有名でした。

私の記憶に間違えがなければ、確か、犬については、オバマ氏が娘さんと、大統領選の前に約束をしていたことだったはず。

「もし大統領選で勝ったら、犬を飼う」というのが、娘さんとの間に交わしていた公約だったのでしょう。
勝利宣言スピーチの場で、「娘たちよ、約束どおり、犬を飼うね」と言っていました。

その後、どんな犬を飼うのか、全米が戦々恐々と注目をする中、オバマ氏は言いました。
「本当はシェルターからの保護犬が欲しいんだけどね。娘にアレルギーがあるから、毛の抜けない種類の純血種に絞って探している。シェルターには雑種が多いからね。僕と同じで。」といって、笑ったそうです。

黒人と白人の血を受け継ぐオバマ氏が、自分のことをMutt dog と言うのも、ユーモラスで素敵でした。

ボウがホワイトハウスにやってきた

その後、ポルトガル・ウォータードッグ(Portuguese Water Dog)、というブリードを知人から譲り受け、晴れてボウは、ホワイトハウスの有名な犬に。

比較的マイナーな犬種だったけれど、有名人が飼うと、とたんに人気が出るのは、洋の東西をを問わずよくあること。
その後全米に、一時的にポーテイー(このブリードの俗称)ブームが起こりました。

当時の私の動物病院にも、ポーデイーがたくさん来院しました。

確かにいつも元気でハッピーで、明るい性格で素敵なブリードだと思います。

5月8日。ボウが死去したとコメント発表

あれから10年以上たち、ボウが今日、亡くなったと数日前に発表されました。
オバマ氏のコメントには、ボウがどうして亡くなったのか、詳細は書かれていません。

ただ、ボウへの感謝と、ボウと一緒に過ごした時が、どれだけ貴重だった、ということが記されています。(一部抜粋)

ボウは私たちに、いつもやさしく寄り添ってくれた。
いいことがあった日も、悪かった日も、いつもハッピーに迎えてくれた。
ホワイトハウスで起こったいろんなハプニングに、辛抱強く耐えてくれた。
大きな声で吠え、でも決して人を噛むことはなかった。
夏にはプールに飛び込むのが大好きで、しつこい子供たちにも動じることなく、
夕食のテーブルからのおこぼれのために生きている犬だった。
彼の被毛はすばらしかった。
ボウは、私たち家族がまさに必要としていた犬で、そして期待以上の犬だった

実は昔、自分の猫を看取った時、私自身、しばらくは悲しさと喪失感で、しばらく立ち直れない時がありました。

どうして、あの時、こうしてあげられなかったのか、という後悔の気持ちがありました。

多くの飼い主さんの看取りをお手伝いしていますが、やはり多くの方が、ペットを見送った後の悲しみから、さらに生前の時のことを後悔し、苦しむことがあるようです。

それは自然な感情ですし、最愛のペットが、もう近くにいないという事実は、時に受け入れるのに時間がかかることでしょう。

ただ、どうか、最後の時間、最後の看病、最後のお見送りの事について、自分を責めすぎないでください。
ああすればよかった。もっとこうしてあげればよかった。。。。

オバマ氏のコメントから学ぶこと

理屈では理解できても、ぬぐい切れない罪悪感。それがペットロスです。

オバマ氏のコメントから、私たちは学ぶことがあります。

犬や猫にとって、ふりかえってみて、大切なのは、どういう死に方をしたのではなく、どういう生き方をしたか、ということです。

病死であれ、高齢の老死であれ、事故死であれ、突然死であれ、死に方はいろいろでも、それは犬や猫の人生の中では短い出来事。

長い時間、一緒に過ごした時間を思い出して、弔ってあげてください。

あなたが確かに生まれ、自分の家にやってきて、一緒に過ごし、一緒に楽しみ、一緒に生きたという事実。

それは、どんなに悲しい別れ方をしても、消えることがない事実。

それがどんなに、かけがえのない時間であったか、あなたとすごした年月が、どれだけ貴重で、楽しく、幸せだったか、ということを、亡き犬、亡き猫に伝えてあげてください。

Thank you, Bo, we will all miss you.
ボーちゃんのご冥福を心よりお祈りいたします。

2021年5月12日アメリカ,人生・生活,獣医療・ペット

Posted by Dr. Yuko Nishiyama