「緊急時チェックリスト」を作ろう 動物のためのエンディングノート

アメリカ,人生・生活,動物愛護,日本,獣医療・ペット

あるとないとで大きく違う

これが「ない」だけで、助かる動物の命が助からない場合もある。
いざ、という時に備えて準備しておく、チェックリスト。
こういう物は、いつか作ろうと思って後回しになったり、忘れたりするもの。
もしこのようなリストが、今あなたのお手元になかったら、この機会にぜひ作っていただきたい。
そして年が明けた1月に、毎年アップデートするのがお勧め。

「緊急時チェックリスト」とは

その名の通り、いざという時に困らないように準備し、また関係者と共有しておくリスト。

法的な効力のある遺書や、自分が死亡した時のエンデイングノートとも共通するが、あくまで、いざという時に動物が困らないためのリストである。
遺書とは異なるので注意を。
法的な執行力を持ったものを作りたい場合は、専門の弁護士とご相談を。

「緊急時」とは

大きくわけて次の3種類がある。

① 自分自身、動物の世話をする人に何かが起こった場合

死亡、疾病、障害、判断力に影響する事象(意識不明、認知症など)、その他動物の世話ができない状態になった場合(重度のうつ病等)など。

② 環境、建物に何かが起こり、飼育動物の避難や移動が必要な場合
 
災害、地震、台風、建物の倒壊、浸水、長期の停電、火災。あるいは何等かの理由で急に地主、大家から撤去を求められる、あるいは建物の老朽化でいきなりライフラインが修復不能に壊れる、など。

③ 動物に緊急事態が起こった場合

多頭飼育崩壊、伝染病で一部の動物を批難させる必要がある場合(パルボの発生など)、他。
このように、自分自身へ起こる病気、事故から、天災、人災、伝染病まで、動物に関係する人災、天災などの出来事すべてが含まれます。

そしてもちろんですが。。そうならないように、最大の努力をして予防できることは予防することが大事。

「緊急チェックリスト」が必要なのは誰?

動物を飼っている人すべてです

個人で犬、猫などのペットを飼育している人。
また、動物保護活動をしている人。
飼育動物も保護動物も、数が多くなるほど緊急時の対応が大変になるゆえ、リストが重要になる。
また動物の所有者、保護者の年齢は関係ない。
例え自分が若くても、リストは作ってあるべき。

緊急時リストの内容

さて、以下に緊急時リストに記入しておくべき事項を列記するので参考にしてほし
人や状況により、必要ないものもあるだろうし、また他にも付け加えるものがあるだろう。
ある程度自由に内容を変更し、使いやすいようにカスタマイズしてほしい。

リスト項目1 意思表明

もしも自分に何かがあり飼育できなくなった場合、動物(たち)をどうしてほしいのか明確にしておく。

Aさんに飼育してもらう、Bさんに委託し、判断をゆだねる、C愛護団体に全頭保護依頼する、など。
いわゆる、自分の動物の後継人の指名である。

そして必ず、事前にAさん、Bさん、C団体に説明し、了承を得ておくこと。
後継人の住所や電話番号などの連絡先を明記しておくこと。
それに伴い金銭の支払いを希望する場合は、その旨も明記。

自分の死後のことは、口約束しても忘れられるかもしれない。
また、事前に本人に直接お願いしないと、本人死亡後にいきなり引き取って飼えと言われても、できないと断られるかもしれない。
緊急リストの中に後継人の名前を明記し、それを後継人に渡しておくとよい。
遺書ほど重々しくなく、依頼していましたよね、と毎年確認することができる。

リスト項目2 連絡する人の名簿

自分、建物、動物を含めて、非常時が発生した場合に連絡する人のリストを明確にリストアップする。
直ちに連絡を行うべき人たちは誰か、しっかりと把握しておこう。
そして、1人1人について、以下のものが明記されているべき。

フルネーム、携帯電話番号、Eメールやラインネームなどの電子アカウント連絡先、できれば住所。

その人に連絡がつく親しい人(家族、親友)1人の連絡先。
個人情報になるので、扱いには注意してほしい。

「うちはライングループで一斉に知らせるから大丈夫」
という声を聞くが、災害時には通信障害があるかもしれない。
相手が寝ている深夜に、緊急連絡をしなくてはならないこともある。
あらゆる状況を想定し、電話番号を含めた複数のアクセス先を書いておくこと。
「いつもラインでやりとりするから、電話番号も知らない」というあなた。危機管理意識が低すぎますよ。
この人たちはライン、この人はインスタメッセージ、あの人はフェイスブックメッセージ、この人は電話で、連絡の仕方がまちまちならば、緊急時にうまく全員連絡できるはずがない。

リスト項目3 自分の情報

住所氏名、電話から始まり、重要なものがどこにあるのかを明記。
動物関係のファイルや書類。
狂犬病のワクチンや登録の証明書など。
愛護団体やNPO法人にしている場合は、団体関係の書類やハンコ。理事に関する情報なども。

リスト項目4 動物の情報

飼育動物、収容動物すべてについて。
保護施設の場合は、毎日の管理日誌がどこにおいてあるか明記。
動物種、ブリード、性別、不妊去勢手術の有無、色柄、特徴、名前。
マイクロチップナンバー。
主治医である獣医師名と動物病院の情報。
その他、医療関係(常陽する薬など)や、人に馴れていない、などの情報も。

リスト項目5 常備品、非常用品の場所

日常に使っているフード、砂、リード、薬などを閉まってある場所を明記。
他人は、あなたがいつもフードを閉まっている場所、リードの入れてある引き出しがわからない。
また非常用の避難グッズ(動物用)の場所を明記。
(もちろん、応急手当医療品を含めて、準備してありますよね?)
万が一あなたが意識不明や死亡で避難できなくても、誰かが犬を救ってくれる時のために。

リスト項目5 避難場所

① 敷地内 家や施設の中で、一時的に避難できそうな場所:ベランダ、裏庭、家の前の道、ガレージ、などなど。

② 少し離れた安全な場所:徒歩圏内の公園、学校など。

③ 離れた場所の避難場所:知人や親族の家、他の愛護団体、所属地区のセンターなど。

これらは簡単なマップや地図も明記しておくのがベスト。

いざという時に、動物たちを一時的に保護し合うよう、少し離れた動物保護団体と協定を結んでおくとよい。
困った時、非常時お互い様だ。

うちの地区は同伴避難を認めているので大丈夫、という声を聞くが、大規模な災害では地区全体が危険区域になることもある。

リスト項目6 移動手段

緊急時に動物(たち)を避難場所まで移動させる手段を明記する。
キャリーやバッグの保管場所。
自家用車の場合は、運転者のリスト。(自分、弟が運転可、など)
移動を手伝う人がいる場合は、その人の名前と連絡先。
動物が多頭の場合は、どのキャリー、ケージに誰を入れ、誰の車に何頭積む、といったドラフトも。
(サクラとミケは仲が悪く、ゴマと小太郎は一緒のケージでよい、といった情報は他人は知りません。)

リスト項目7 アップデートした日

1年に1回はアップデートするのがベスト。
アップデートした日も記録する。

まとめ

いかがでしたか。
この緊急リストは、毎年アップデートし、関係者(自分の家族、後継人となってくれる方、一時預かりをしてくれる他の団体、他)に渡すことで、「うちに何かあったときはよろしく」という意図を再確認することにもなる。

備えあれば憂いなし。
実は英語にも全く同じ意味のことわざがある。
Preparing is preventing.

有事に備えて準備しておくこと。
災害や人災が起きても最小限の被害で、最愛の人や動物が救われること。
世界共通の願いだ.

A Happy New Year to all.