ペットの預かりボランテイアが守るべき3つのルール
今日は、動物愛護団体が所有するペットを、預かりボランテイアとして預かる時の注意事項をご紹介します。
預かりボランテイアとは
日本全国、動物愛護団体が増えています。ご存じのように、動物愛護団体は、主に行政のセンターで殺処分される運命のペットを引き取り、その後譲渡会で、一生責任を持って飼ってくれる人を探します。
多くは、場所が狭い、通ってくれるボランテイアの数が不足している、などの理由で、預かりボランテイアさんを利用しています。預かりボランテイアとは、動物愛護団体のシェルターではなく、家庭や個人のお家で、犬や猫を飼う人のことを言います。
ペットたちは、集団生活とは違い、静かな個人の家で、落ち着いて生活できます。また、預かった方は、一緒に生活することで、ペットのくせや精神状態も把握できます。
シェルターではずっと吠えていた犬も、家庭では驚くほど静かだったりすることもあります。そしてよい譲渡へつながることが多々あります。
一般の飼い犬、飼い猫との違い
預かりボランテイアで飼われているペットたちは、一般の家で飼われているので、普通のペットと変わらないように見えますが、異なることが2つあります。
1つは、その方は飼い主ではなく、預かっているだけ、ということ。ペットの所有権は、動物愛護団体になります。
もう1つは、その方が、一生飼うのではなく、やがて、誰かに譲渡される運命である、ということ。
英語で、預かりボランテイアのことを、Foster フォスターと言うので、日本でも「フォスターさん」と言っている人がいます。しかし、日本語で「フォスター」というのは、遠く離れている国の貧困の子供などに、毎月一定金額のお金を振り込み、ヘルプする人のことも意味します。
実際に、「犬のフォスターさん募集」というのを見て、犬を預かるのではなく、毎月お金を振り込む人だと思う人がいます。それゆえ、混乱を避けるために、私は、愛護団体のペットを実際に預かる人は、「預かりボランテイア」と呼ぶほうが、誤解がないと感じています。
預かりボランテイアが守る3つのルール
実際に預かりボランテイアになる時に、考慮しなくてはいけない注意点があります。
この3つのポイントを明確にしておかないと、後日、問題になったり、嫌な思いをすることがあります。
1.預かりボランテイアが守るルール1 愛護団体と自分の間で、仕事、責任分担を明確にしておく
これは、愛護団体と、預かりボランテイアの間で、きちんとしておきましょう。
まずは金銭的なこと。どっちが費用を負担するかを、明確にします。
・日常的に発生する生活費―食事代、トリミング代など。
・動物病院の費用―通常の場合。ワクチン、不妊去勢手術代。
・動物病院の費用―病気の時、緊急時の時、入院、手術費用。
・ペットが、ボランテイアさんや、第3者を負傷させた時の医療費等。
・ペットが、ボランテイアさんの家や器物を破損した時の保証費用。(ドアを破壊したなど)
次に、決定権。特に病気になった時、オプションがある場合、どちらが決定するのか。話し合う場合、意見が分かれた場合の最終決定権はどっちか。
・入院治療か自宅治療か。
・内科治療か手術治療か。
・自分の近くの家の動物病院でよいのか。愛護団体の指定する病院に連れていくべきなのか。そこの診療時間外の時はどうするか。
・譲渡希望者の判定。ペットの譲渡希望者が現れた時に、その人で大丈夫か、その家庭に合っているか、書面や面接で判定するのは、愛護団体なのか、ボランテイアなのか、両者なのか。意見が分かれた時の決定方法は?
有事や非常時の時の対処、責任、計画。
・犬や猫を逃がしてしまった時の対処方法。
・災害時、被災時の避難。
・預かりボランテイアさんが重病や事故にあった時。
お金、責任、決定権について、できるだけ詳しく、事前に相談して、お互いが納得してから始めることが大切です。愛護団体では、これらのことをマニュアルとしてまとめていたり、事前に説明して契約をしているところも多いです。
2.預かりボランテイアが守るルール2 自分、自分の家族、自分の飼っているペットを守る
次に、預かりボランテイアさんに必要なのは、預かる動物と同時に、自分や家族もちゃんと守らないといけない、ということです。
どんなペットでも、愛護団体からでもペットショップでも、新しく家庭に迎える時、症状がなくても伝染病のばい菌やウイルス、または寄生虫や皮膚病などを持っている場合があります。検査をして陰性でも、実は持っている場合もあります。
よく問題になるのは、ジアルジアやコクシジウムのような消化管内寄生虫、真菌症や疥癬のような皮膚病があります。また検査時に陰性でも、猫白血病エイズウイルスを所有していたり、フィラリアを持っていることもあります。すでに自分の家に飼い犬、飼い猫がいる場合は、これらの伝染病の知識を学び、慎重に受け入れ準備をするべきです。
例えば、フィラリア検査が陰性でも、実は幼虫感染をしている保護犬もいます。その犬は蚊を通して、自宅にいる猫に感染させる可能性もあります。感染してから検査が陽性になるまで、7カ月かかるという知識がないと、これらのことは把握できません。
また、問題行動、噛み犬、吠え犬なども、個体差があり、更生に時間がかかることもあります。自分も家族も、自分のペットも、皆が気持ちよく、健康に生活できることが前提です。捨てられてかわいそうだから、という情けだけで始めると、皆がストレスで疲れきってしまいます。
正しい知識さえ持てば、保護動物を預かることは、危険なことではありません。しっかり勉強して知識を持つことが大切です。
3.預かりボランテイアが守るルール3 ゴールは「よい譲渡」であること
預かって一緒に生活をすると、自分のペットのように愛着がわくことでしょう。しかし、預かり保護動物のゴールは、よいご縁、よい譲渡です。
「この人に、大切なこの子を渡してしまって、大丈夫だろうか」と思う時もあるでしょう。その強い思いから、譲渡希望者を、次々と不失格にして、ペットを渡さないようにしまうボラさんを見ることがあります。もし、預かっている途中で、自分のペットとして一生飼いたいという気持ちになったら、正式に譲渡手続きをして、自身の所有のペットにしましょう。
自分の家で可愛がって飼いながら、医療費などは愛護団体に払わせるのは不適当です。愛護団体は、善意の寄付金で成り立っているのですから。
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別れはどんな場合も辛いです。涙と笑顔で送り出してください。
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あなたが行ったボランテイアは、1匹の命を救っただけではありません。
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あなたは、預かったペットに愛情と優しさを教え、りっぱに更生させました。
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あなたは、新しい飼い主さんに、今後、ずっとペットと生活するという楽しみを与えました。
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あなたは、殺処分の数を、1コだけ、減らしました。
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あなたがしたのは、りっぱな社会貢献です。
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あなたのようなボランテイアが日本中に、何人も集まって、動物愛護は成り立っています。
全国の預かりボランテイアさんを、心から尊敬し、応援しています。
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