コロナのワクチン接種を受けました

2021年1月15日アメリカ,新型コロナウイルス

コロナワクチン接種

本日、私は新型コロナウイルスのワクチンを接種してもらいました。
今日は、現在のロサンゼルスのワクチン接種事情について、自分の体験談と感想をお話します。

いつかは絶対に自分もコロナに感染する!

ロサンゼルスでは、現在、毎日、15、000人前後の新規感染者と、300人前後の死者が発生しています。
もちろん、この中に全く症状を示さない人もいれば、重症化して入院したり、人工呼吸器のサポートが必要になる人まで、様々です。
数字だけみると、へえ、と感じるだけかもしれません。
しかし、私自身のまわりを見ても、実際に次々とコロナに感染しています。

私のように、臨床獣医師の仕事をしていると、呼吸器症状の犬、猫を診察する時は「ご家族に、コロナに罹患された方はいませんか?」、「犬が誰か、コロナ患者と濃厚接触しませんでしたか」と質問しなくてはなりません。
以前は、「No」がほとんどだったのに、今では、「ああ、実は私、2か月前にコロナになりましたが」といった回答も、珍しくなくなりました。

夫の知人、息子の大学の友達、夫の親戚の人、私と一緒に仕事する獣医師の夫や兄弟など、誰が感染した、誰が入院した、誰は回復した、という会話が、日常的に行われるようになってきました。

もう、コロナは他人事ではありません。

コロナ患者は、ニュースで見る数値、という別世界じゃないのです。
どんなにマスクをしても、手洗いをしても、なるべく3密を避けても、これだけ広まっていれば、どこかで人はコロナウイルスと接触してしまいます。
明日は、自分もコロナに感染するかもしれない、というのが、まぎれもない現実なのです。

ワクチン接種の優先順位

アメリカでは年末から、介護施設にいる高齢者や、医療関係者を中心に、ワクチン接種が開始されました。
高齢者や、慢性呼吸器疾患を患っている方、介護する方など、コロナのリスクが高い人が優先して受けられます。
この優先順位は、政府や専門家のアドバイスをもとに、州や市などの自治体が決めています。

ワクチン接種開始から数週間たち、第一優先の高齢者や医療関係者に、だいたいワクチン接種がいきわたってきたので、次にワクチン接種が必要なグループの人たちが、優先順位に加わり始めました。
臨床獣医師である私は、最初は優先グループに入っていませんでしたが、今回、優先が認められて、接種するはこびとなったわけです。

ワクチンはどこで接種してもらう?

現在、市内のいくつかの病院と、処方薬局が、コロナワクチンの接種場所に指定され、そこに各自、予約をとって行きます。
予約サイトで数えてみたら、ロサンゼルス地区に、103個の場所で、接種可能でした。
CVS Pharmacy やSavon Pharmacy, Ralphs Pharmacy という、市内にどこにでもある、チェーン店の薬局や、スーパーと一緒になった薬局です。

ドジャーススタジアム(野球場)は、少し前まで、コロナのPCRテストをドライブスルーで行う、スーパーPCRテスト会場だったのですが、今は、スーパーワクチン接種会場となり、毎日1200人に接種しています。
近く、デズニーランドも、スーパーワクチン会場になる、とニュースがありました。
駐車場が広く、スムーズに出入りできる場所は、毎日千人以上にワクチン接種が可能になります。

私のコロナワクチン初体験

ちょうど1週間前。
カリフォルニア獣医師会からEメールがあり、獣医師がコロナワクチンの優先獣医リストに入ることが、今決まった、とありました。
手続きに2-3日かかるけど、近く、コロナワクチン接種ができますよ、という内容でした。
当日、私が勤務する動物病院のボスからも、同じ内容のメールが届きました。

3日後、病院のボスから連絡があり、動物病院関係者(獣医師、看護師、動物病院に勤務するスタッフ)が、正式にリストにのったので、各自予約をとって、接種を受けてください、という連絡が入りました。
すぐに、指定されたサイトから予約をとろうとしましたが、103のサイトのどこも、超満員。
最短でも1週間待ちという状態。
ただ、キャンセルが出たり、在庫?の関係なのか、ひょっこり、その日や翌日に空きが出たりすることが判明。

とりあえず7日後に予約を入れていたけど、今朝、改めてチェックしてみたら、今日の夕方に空きを発見!
さっそく予約を変更し、少し遠い場所でしたが、無事に本日受けることができました。
カリフォルニア獣医師会からの連絡があってから、ちょうど7日目のことでした。

予約から接種まで

予約は、すべてネットで行います。
ワクチンの安全性、有効性、エビデンス、アレルギーなどの副作用、などのコンセントは、すべてネットで予約する段階で、電子的にサインをします。
どこの病院で仕事しているとか、フルタイムかパートタイムかなど、特別に詳しい身元調査はありませんでした。
獣医師免許の提示もありませんでした。

本日空きができたのが、UCLA メデイカルセンターという病院でした。
車で約45分。予約した病院に到着すると、わかりやすい案内表示が駐車場にありました。
約5人くらいの人がドアの外で、1列に並んで待っていました。
ドアの外の受付の人に、名前とアポ時間を告げ、非接触型で熱を測られ、約5分待ちました。
2人が建物から出たら、2人が入る、という仕組みになっていました。
順番が来て中に入ると、そこで案内の人に、簡単な質問を受けました。
身分証明書を見せて、30秒で手続きを終えると、すぐに看護師さんらしき人が来て、8畳くらいの個室に案内されました。
通常は、診察室として使われている部屋のようでした。

看護師さんは、「右と左とどっちの腕がいい?」と聞き、「今まで、他の種類のワクチンを受けたことはあるわね」「アレルギー反応が出たことはないわね」の3つだけ質問されました。
ワクチンは、ファイザー社と、モデルナ社の2種類がアメリカにはありますが、自分で選ぶことはできず、施設が勝手に決めているということでした。
というよりも、もう入手できるワクチンを、次々に在庫して接種しているようでした。
私はモデルナ社のワクチンを接種されました。
ワクチン接種は特別に痛い訳でもなく、インフルエンザや破傷風のワクチンと同じ感じで、あっという間に終了しました。
その後、15分間、待合室で休み、時間が来たら勝手に帰っていいと言われました。
その間に、かゆみ、吐き気、めまいなどの異常があったら、直ちにスタッフに言うように指示されました。
椅子は3つに2つは座れないようにテープが張られ、人との距離を十分とって、15分間休憩しました。
待合室には無料のWifi があり、備え付けのテレビもあり、15分じゃなくてもっと長く座っていたかったです。笑。
問題なかったので、15分後に建物を去りました。

最初から最後まで、25分で終了。

流れが潤滑で、人との接触も最低限で、次々をワクチン接種が流れ作業で行われていました。
今日のコロナワクチンに対して、支払った金額はゼロ。
すべて無料。自己負担なく接種していただきました。
1カ月後に2回目の接種のアポを、ネットで入れるよう指示がありました。
アプリで予約しようとしたら、もうすでに、1か月後の予約は、自動的に入っていました。(変更可能)

建物の外に出ると、ワクチン接種のために訪れる人が、次々と車を駐車し、また終わった人は次々と車で去っていきました。

カリフォルニアの夕方のオレンジ色の日差しの中で、その光景を見ていると、今、一人一人が、一生懸命コロナと戦い、ウイルスと言う見えない敵に、力を合わせているんだなーと実感して、思わずジーンとなりました。

本日接種してから、6時間以上経ちましたが、注射した部分が、ちょっとだけ鈍痛がありますが、微熱も、何もなく、今のところ、いつもとまったく変わらない体調です。
どうやら私には、副作用がなかったようです。ほっ。

ワクチン接種は個人の選択

新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンは、FDAが正式に認可したものではありません。
コロナという緊急事態のために、FDAが緊急時の使用というカテゴリーで、18歳以上の成人に使用許可したものです。
それゆえ、誰もが、いち個人にワクチン接種を強要することはできません。
米国政府も衛生局も、強く奨励はしていますが、強制力はありません。

しかし私たちはりっぱな大人なのです。与えられた情報を読み、理解し、接種を受けるかどうかは、自分の頭で判断しなくてはなりません。

世界中にこれだけ猛威を振るっている伝染力の強いウイルスなのです。
愛する人、家族、友を、あっという間に死に至らしめる可能性もある、伝染病です。
しかも、もうこれだけ蔓延し、広がってしまっています。

私は、ワクチンを接種して、少しでもコロナに感染するリスクを減らし、そのぶん、これからも仕事をして経済復興に貢献し、また自身の生活のクオリテイーを、少しでも改善できるようになればと思い、接種を決断しました。

勿論、ウイルスですから、遺伝子変異が起こり、ワクチンの効果が弱まり、改良されたワクチンを再接種する必要が将来的に出てくるでしょう。
ワクチン接種しても、マスク手洗い、3密を避けるといった基礎は続けなくてはなりません。
またワクチンも、100%の伝染予防はできません。
リスクも承知の上で、決断しました。

一番大切なのは、ワクチン接種により、コロナの予防と同時に、不顕性にウイルスを持って、他の人に伝染させることが少なくなる、ということではないでしょうか。

ワクチンは、自分を守ると同時に、他の人への感染源になることを、予防します。

自分を守り、他人を守り、そして、これから来る、コロナと一緒に生活するニューノーマルの社会を守る。

私は自分にできることの一つとして、自分のため、愛する家族や友のため、仕事をするため、そして自分の住む社会のために、ワクチン接種を決断しました。

Do your part to stop

恋人や友や、大切な人と、一緒に食べて、笑って、ハグする日が、再び戻りますように。

2021年1月15日アメリカ,新型コロナウイルス

Posted by Dr. Yuko Nishiyama