カンナビが流行していますが・・

2020年4月14日アメリカ,獣医療・ペット

今日、診察したこの犬。なんだか様子がおかしい、ということで、飼い主が連れてきました。どこが変だか、わかりますか?

少しフラフラして、脱力感があります。目をシバシバさせて、落ち着きがなく、不安なのと、眠いのが混合した様子。時々、チックも見られます。TPRは正常でした。

答えは、THC(テトラヒドロカンナビノール)中毒。今、アメリカで流行している、CBD(カンナビノール)製の犬用おやつを、規定量与えたというケースです。決して、オーバードースではありません。

CBDの含まれた製品は、THCという麻薬精神作用のものは除去されて、安全であるという認識がありますが、実際には、このように精神症状を発生する犬がいます。

もともと、犬のおやつやサプリは、薬ではないので、FDAもなかなか取り締まりが行き届かず、また消費者側の需要も高いので、こと最近、CBDに関する問題症例をよく見ます。犬側の感受性も関与しているのでしょう。

この場合、もちろん、膵炎や低血糖症、アジソンなど、他の病気を除外し、さらにTHCの簡易テストで陽性と出ました。最初飼い主も、「そういう物はいっさい与えていない」と主張していましたが、「そういえば、今朝与えたあのトリート、CBD系だったっけ」となり、判明しました。

犬は何を食べたか、体調の細かい不具合について、しゃべってくれません。飼い主も、細かい部分を把握していなかったり、覚えていなかったりします。臨床獣医師は、患者の症状をよく観察して、さらに除外診断して初めて、正しい診断にたどりつけます。

日本でも最近、カンナビ系の需要が増えていると聞きました。犬のマリファナ中毒なども、予備知識がないと、対処できません。いつそういうケースが来ても対処できるように、獣医師は、きちんと勉強して、備えておきたいものです。

2020年4月14日アメリカ,獣医療・ペット

Posted by Dr. Yuko.Nishiyama